セミナー・講演

非認知能力 X フランスの教育 見えない力を、どう評価するか?

2025年12月19日、インフォザイン主催のオンラインセミナー、「非認知能力の見える化 〜オープンバッジ活用の最前線〜 フランス視察共有会ウェビナー」を開催し、フランスにおける「非認知能力の可視化」の現在地を共有。デジタル証明「オープンバッジ」を日本の教育現場で応用できる「評価のアップデート」について探りました。


 

〈インフォザイン主催セミナー〉
「非認知能力の見える化 〜オープンバッジ活用の最前線〜 フランス視察共有会ウェビナー」

1219_infosignセミナーグラレコ登壇者

  • 斎田 健太郎(株式会社インフォザイン 取締役・教育環境デザイン部部長)
  • 水野 裕子(株式会社インフォザイン 教育環境デザイン部)
  • 川路 洋太(株式会社インフォザイン 教育環境デザイン部)
  • 髙橋 侑暉(株式会社インフォザイン 教育環境デザイン部)

グラフィックレコーディング

  • 石原 呼春 氏(株式会社デジタル・アド・サービス 編集デザイン部)

「学び」を信用の証に。オープンバッジが変える非認知能力の可視化

なぜ非認知能力なのか

斎田:我々はこの10数年、Learning LockerやTAO、そしてオープンバッジファクトリーといった、海外の「オープンスタンダード(国際標準規格)」に準拠したEdTechサービスを日本へ紹介してきました。一貫して目指してきたのは、教育機関や企業の皆さんの「学びの可視化」をお手伝いすることです。

なぜ今、オープンバッジなのか

本日のテーマである「非認知能力」の可視化において、私が最も重要だと考えているのが「第三者からのエンドースメント(推薦・承認)」です。

実は、テストの点数のように数値化しにくい能力こそ、「誰がそのスキルを認めたのか」という裏付けが欠かせません。オープンバッジの仕様には、このエンドースメント機能がしっかりと定義されています。まさに、非認知能力を証明するのにこれ以上ないほど相性が良い仕組みなのです。


日本でも広がる「マイクロクレデンシャル」の波

現在、日本でもオープンバッジの普及は急速に進んでいます。皆さんも「マイクロクレデンシャル(細分化された学習証明)」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

単なる「受講証」で終わらせず、個人のスキルを可視化し、社会的な資産へと変えていく。私たちはこれからも、オープンバッジを通じて新しい学びの形を支えていきたいと考えています。

認知能力から非認知能力へ

「テストの点数」だけでは組織が立ち行かない理由

これまでEdTechの世界が主に扱ってきたのは、テストの点数や保有資格といった、いわゆる「認知能力」でした。しかし、AIが台頭し、せっかく得た知識がすぐに陳腐化してしまう今の時代、それだけでは組織の成長は止まってしまいます。

皆さんの周りにも、こんなことはないでしょうか。

  • 知識は豊富だが、困難にぶつかるとすぐに心が折れてしまう。
  • 個人の能力は高いが、周囲と共創することができない。

一方で、常に高い成果を出し続ける人を観察すると、共通して「やり抜く力(グリット)」や「自己管理能力」といった「非認知能力」が高いことが分かります。

「センス」や「性格」の正体

これまでは「あの人はセンスがあるから」「そういう性格だから」という一言で片付けられてきた領域でした。しかし近年の研究では、この非認知能力こそが組織のパフォーマンスを左右する最大の要因であることが明らかになっています。

オープンリコグニションへ

世界標準は「オープン・レコグニション」へ

視点を世界に向けてみると、今この非認知能力を「オープン・レコグニション(開かれた承認)」という形で可視化する動きが加速しています。

これまでの評価は「何ができるか(スキル)」に偏りがちでした。しかしこれからは、オープンバッジなどを用いて「どういう姿勢で物事に取り組んだか(プロセスや態度)」までも証明し、それを個人のキャリアに直接活かしていく。これは決して遠い未来の話ではなく、グローバルではすでに実装が始まっている「標準(スタンダード)」なのです。

「最前線の生の情報」を共有したい

「非認知能力」という目に見えにくいものを、どうやって社会的な信頼にまで高めていくのか。本日は、その最先端で今何が起きているのか、私が現場で触れている「生の情報」をお届けしたいと考えています。これからの組織づくりや人材育成のヒントにしていただければ幸いです。

パンテオン

水野:10月10日から27日までの18日間、フランスに行かせていただきましたので、見てきたこと、聞いてきたことなどを共有させていただきます。
ウェビナーにご参加の皆様が、それぞれの立場で、何かヒントになるものを持ち帰っていただけたら良いなと思います。

前提として、今回お話しするにあたり、特定の個人や組織のバイアスがかかっている部分もあるかと思います。
今日のお話は私のインフォーマルな学びのご報告である というところをご考慮いただきつつ、お聞きいただければ幸いです。

フランス視察共有レポート 01

なぜ、フランスに行ったかという背景をお話しします。
我々のパートナーであるオープンバッジファクトリー社はフィンランドの会社ですが、
代表はフランス人で、ユーザーの数が多いのもフランスです。
また、オープンバッジファクトリーの思想のベースになっている「オープンリコグニション」を推進する組織もフランスを拠点に活動をしています。
今回はオープンバッジファクトリーの陣営と共に2つの学会に参加し、地域としてもバッジの活用が進んでいる、ノルマンディ地方の大学や施設を訪問しました。
またそこで出会ったオープンリコグニションアライアンス代表のセルジュさんは先日、我々の東京のオフィスにもお越しいただいて、哲学的なお話を聞かせていただいたところです。

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フランスの教育について私が住んでいた時に知っていたところを先にご紹介しておきます。

自由・平等・博愛
公立の学校であれば入り口などに掲げてあり、いつもにする言葉です。
戦うことで自由を勝ち取ってきた歴史があるので、公務員、教員であっても労働条件に不満があればストライキをするという精神につながっているかなと思います。

平等 =差別をしない
教育現場などでも宗教色は原則排除されています。
例えば、町はクリスマスで溢れていても、公立の学校の中ではクリスマスの飾り付けや行事もないです。

博愛 =人類みな兄弟
この博愛の精神が社会保障につながっているかと思います。
公立であれば、幼稚園から大学まで授業料が無料、ちなみに、出産にかかる費用も無料です。

フランス視察共有レポート03

フランスでは専門的な仕事に就くためには学位が必要で、例えば、幼稚園や小学校の教員であっても基本的には修士の学位を持っています。

日本では先生は地方公務員ですが、フランスでは国家公務員で、高度な専門性を持つとされています。ですので、幼稚園や小学校の先生であっても児童の躾の部分は先生の仕事ではなく、家庭で行うもの。給食、掃除、部活は、教員ではなく専門の職員が担当します。
部活がない代わりに、例えば音楽やダンスの習い事は学校とは別の公立の音楽学校で放課後や土曜日に専門の講師のレッスンを受けることができます。費用もとても安いです。

また、転職するために研修を受けたり、復学して別の学位を取ったりということもよく行われています。

出身校によって初任給が違ったり、企業や行政などの幹部候補・管理職になるためには修士号が必要だったり、CTIというエンジニア資格委員会が認定した学校の学位を持っていないと、正式な有資格エンジニアとはみなされません。そのため、独学で高度なプログラミングスキルを持っていても、学位がない場合は「Technicien(技術者)」という低い区分に分類され、給与が低くなってしまうことがあります。

パン屋も美容師などの職人や現場仕事でも「ディプロマ」があり、お店を開くには、国家資格(ディプロマ)が必要になります。「見習いで腕を磨いたから独立する」といっても、このディプロマ試験に合格していなければ店を持てないということです。

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大学入試が変わると学校教育も変わると言われますが、フランスでも最近、入試の仕組みが変わったと友人から聞きました。

今は、フランスの大学入試はほぼすべての公立の高等教育機関が一元管理されたオンライン出願システムでマッチングされています。聞いた話ですので細かな部分が間違っていたら申し訳ないのですが、図にしてみました。

受験生は、最大10校まで志望校をシステムに入力し、そのマッチングシステムがオファーを提示した学校やコースに進学をします。
一元管理をすることで、国としても将来的に必要なスキルを持つ人を育てるためのコントロールがしやすいのではと想像します。

日本の大学はそれぞれにバラバラな出願システムがあり、出願や選抜試験の時期・方法・合格発表も異なるので、精神的にも経済的にも準備の手間としてもフランスの一元システムは羨ましいなと思いました。

ただ、評価されているのほぼ学力とのこと。志望動機書を考慮する学校種もあるそうですが、プロフィールに書き込まれた自主活動で挽回することは難しいようです。

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今回の視察ルートと訪問先です。

バッジが地域主体で活用されているブルターニュ、カーンノルマンディ地方も移動しました。

1 ナント(ロワール地方)10/11-13
オルトペダゴジー(orthopédagogie)の処方を受けて、進学先を決めた学生の話

2 レンヌ(ブルターニュ地方)10/13-14
Learning Show 2日間参加

3 カーン(ノルマンディ地方)10/14-16
カーンノルマンディ大学 CEMU訪問
コワーキングセンター訪問

4 パリ 10/16-26
ePIC 3日間参加

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まず、最初に訪れたナントではオルトペダゴジーという療法の話を伺いました。

日本でもそうですが、フランスでも、高校三年生はその後の進路に悩みます。

  • 自分は将来何がしたいのか
  • 自分は何が得意なのか

今回ナントでお話を聞いたAさんはとても優秀で、過去には飛び級もしています。
高校3年生の時、両親や高校の先生が薦める進路先と自分の気持ちが合っていないことに悩んだそうです。

フランスでは悩みがある時に、専門家の診断を受けるということが抵抗なく行える環境があり、Aさんは町にあるオルトペダゴジーの専門家に相談をしたそうです。

科学や心理学の理論に基づいた診断を受け、自分の職業適正や潜在能力を可視化し、提言された進路先に、納得感を持ち、そのエビデンスをもとに両親や高校の先生の納得も得ることで
、ロボティクスの企業でインターンシップをしながら、その企業が学費を負担してくれる形で専門学校で学ぶという進路に進みました。

このオルトペダゴジーは小学生から大人まで対象に、個性に合わせた学び方を支援することができる方法なのだそうです。

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学会の一つ目はラーニングショウという人材育成分野の教育イベントでした。組織の人材育成担当、研修担当者、教育テクノロジー専門家など約1000名が参加し、学習効果を最大化せよ というテーマで、

  • ニューロエデュケーション
  • 組織的な学習文化の醸成
  • 学習設計
  • 最新の教育テクノロジー

をフランス国内外の実践者や研究者による多数の体験型ワークショップを交えて学びます。
スキルや能力の評価・可視化・バリデーションという文脈でオープンバッジについて語られる場面が多かったです。

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この学会では、スキルベースの組織づくりをすることで、人材不足の課題を解決しようという話が多く語られていました。その必要なスキルが何なのかという議論も多かったです。
また、ラーニングショウの中でも、講義スタイルの講演がグラレコされていました。

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二つ目の学会はePICというオープンエデュケーション、オープンリコグニション、バッジ、認証技術についての国際会議です。
世界各地から学術界、教育事業者、政府関係者、企業、NPOなど150名程度が参加し、オープンバッジの最新動向、学習成果の可視化・オープンリコグニションの技術と取り組みについて発表やディスカッションがありました。

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リコグニション(承認)とは

与えられるものではなく
実践されるもの

授与されるものではなく
共創するもの

受動的なものではなく
変革をもたらすものです

という思想があり、オープンに認め合う、オープンリコグニション宣言というものを皆で再確認しました。このリコグニションの部分にバッジを付与して行こうというものです。
この話は後で、もう少し詳しくご紹介します。

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カーン・ノルマンディ地方では、大学のCEMUという部門を訪問しました。
ここは、先生方が行う「教育」を、マルチメディアやデジタル技術の面からサポートする専門組織です。
全部で50人以上の専門スタッフがいて、単に機材を管理するだけではなく、授業の方法そのものを先生と⼀緒に考えたり、新しい教材を開発したりしています。

印象的だったポイントとして評価方法の工夫(AI対策)がありす。学生の評価にポッドキャストやディベート動画を使っていたのですが、単に面白いからだけではないんですね。
職員のパトリックさんが言うには、「紙のレポートだけだと、AIが書いたかもしれない。でも、自分の声や体を使って表現する方法なら、学生本人の本当の能力(コンピテンス)が評価できる」とのことでした。

AI時代だからこそ、こうしたメディアを使った評価も大切なのだと分かりました。

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カーン地域のコミュニティセンターも訪れました。
このバッジの一覧は、CEMUが運用に携わってできたソフトスキルのオープンバッジです。
学生と地域の企業採用担当者はこのオープンバッジを就職活動に活用し、マッチングがしやすくなったと報告されています。
交渉力、協調性、戦う力、批判的思考力 などのバッジが揃っています。

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カーン地域のコミュニティセンターも訪れました。

このバッジの一覧は、CEMUが運用に携わってできたソフトスキルのオープンバッジです。
学生と地域の企業採用担当者はこのオープンバッジを就職活動に活用し、マッチングがしやすくなったと報告されています。交渉力、協調性、戦う力、批判的思考力 などのバッジが揃っています。

次に、ePICで学んだ、オープンリコグニション宣言について少し詳しくご紹介します。
この宣言には7つの柱があります。

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この7つの柱を含めて要約すると

オープンリコグニション宣言は次のようなことを言っています。

「能力の証明」は学校や資格だけではありません。
この宣言は、学びや経験を権威ある組織に認めてもらうだけでなく、私たち自身がお互いに認め合うことが大切です。
点数にならない活動もみんなの「共有財産」として扱い、テクノロジーを使って誰もが公平に評価される、自由で繋がりのある社会を作ろうと呼びかけています。

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現地では、この宣言に参加者で署名をしています。
またオープンリコグニションという思想を親しみを持って理解してもらえるようにと、ラジオ番組や動画なども制作されています。

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学会ではオープンリコグニションに対する批判的な意見も発表されていました。

一言で言うと:
「オープンバッジは、『誰でもスキルを証明できる』という建前の裏で、実際には限られた層の特権を強化し、弱者には『平等の幻想』を見せるだけの『内輪向けのグッズ』に成り下がっていないか?」という批判です。

何でもかんでもバッジを発行することで、オープンバッジの全体の価値を下げてしまうのではないか、そうならないためにはどうしたら良いか という議論もありました。

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オープンリコグニションの思想について理解をするために読んだ方が良いとセルジュさんから勧めていただいた本がこちらです。

社会心理学者エーリッヒ・フロムによる『生きるということ』(原題:To Have or to Be?)は、人生における「幸せ」や「生き方」の本質について書かれた本です。
「幸せになるためには、物を『所有』することへの執着を手放し、自分自身がどう『存在』するかを大切にしなさい」ということが書かれており、
50年ぐらい前に書かれた本ですが、「たくさん持っているのに、なぜか満たされない」「失うことが怖い」と感じる現代人にも通じることも書かれています。

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これはある講演のグラレコなのですが、変化の激しい現代において重要性が増している「コア・スキル」の定義、そしてその価値を可視化することの重要性というテーマでした。

技術の進化は早く、テクニカルスキル(Hard Skills)は約2年で陳腐化してしまいます 。
AIやマシンを活用するためには、プロンプトエンジニアリングなどのテクニックだけでなく、人間特有のCore Skillsが求められます 。
従来の「ソフトスキル vs ハードスキル」という対立軸を見直し、新たな定義を提案しています。
Hard Skills(ハードスキル)はツールや技術的なもの 。
Soft Skills(ソフトスキル)は「定義できないもの」とされがちで、生まれつきの「性格(パーソナリティ)」や「気質」と混同され、評価されにくい傾向があります 。
Core Skillsは生まれつきではなく「後天的に獲得可能(動的)」なものであり、テクニカルスキルを向上させる土台となるものです 。例えば、学ぶことを学ぶ(Learning to learn)、柔軟性(Flexibility)、社会情動的スキル、聴く力など 。

技術の変化が激しい中、単なる「性格」として片付けられがちなソフトスキルを、学習可能で不可欠な「Core Skills(コア・スキル)」として再定義し、明確な基準設けて評価・認定することで、学歴偏重ではない公平な社会と雇用を実現しようという提言です。

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この講演のテーマは「AI時代の『スキル』でした。
AIの進化に伴い、人間が何を学び、どう教育すべきかが根本から変化していることを示しています。AIの台頭により、「何を教えるか?」を再定義する必要に迫られています 。

学ぶことを学ぶ:メタ認知(自分自身の思考を認知すること)が重要です 。

3つの重要なスキル
1. クリティカルシンキング(批判的思考):AIの情報を鵜呑みにしない 。
2. 社会情動的知性:自分の感情を理解し共感する力。これは幼少期から育む必要があります 。
3. コ・インテリジェンス:AIと協働する知性 。
4. AIとの正しい付き合い方
単なる検索ツールとして使うのではなく、AIの推論プロセスを理解し、対話(インタラクション)を生み出すことが重要です 。

認知的負債:AIに依存しすぎて思考力を失うリスクに注意が必要です 。
格差を生まないよう、この移行期を適切に支援していく必要があります 。

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バッジのプロセスを体験するワークショップに参加しました。
まず、スキルを定義し、その価値を証明し、信頼性を与えるというバッジ設計のプロセスです。このワークショップでは、架空の人物のプロフィールをもとに、そのペルソナのためのオープンバッジを設計するグループワークが行われました。

バッジの価値は以下の3つの要素によって決まると説明しています。
1. 設計(Conception): どのような目的で、何を認識するためにバッジが設計されたか。
2. 証明(Evidence): バッジを取得するために、どのような証拠(成果物、レポート、他者からの推薦など)の提出が求められたか。
3. 裏付け(Endorsement): 誰がそのバッジを「支持」しているか。例えば、信頼できる組織や専門家がバッジを支持することで、その信頼性は格段に向上します。

これは、従来の卒業証書が必ずしも実践的な能力を保証するものではないという問題意識から来ています。オープンバッジは、学校教育のようなフォーマルな場だけでなく、ボランティア活動や独学といったインフォーマルな学習の成果も証明できるツールなのです。

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オープンバッジの定義
オープンバッジは、単なるデジタル画像ではありません。その画像の中には、メタデータと呼ばれる詳細情報が埋め込まれています。

含まれる情報:

  •   バッジの名前
  •   発行日・有効期限
  •   発行者と受領者の名前
  •   バッジを取得するための基準(どのようなスキルや経験を証明するものか)


 詳細な説明
 特徴: オープンバッジは一度取得したら終わりではなく、「生きている動的なオブジェクト」と表現されています。つまり、継続的な学習や自己省察のプロセスの一部として活用されるものです。

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Karimさんのケース
 人物像: 27歳のKarimさん。地域のスポーツ団体で5年間、ボランティアとして子どもたちにサッカーを教えている。指導や対立の解決といったスキルを持っているが、それを証明する公的な資格はない。

グループの目標: Karimさんの経験を、彼のキャリアに役立つ形で「見える化」するバッジを設計する。

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設計されたバッジ:
◆ バッジ名: グループマネジメント(実践者レベル)
◆ 目的: 履歴書(CV)を充実させ、転職活動に活かす。
◆ 発行者: 市役所や県など、地域コミュニティを管轄する公的機関。
◆ 裏付け(支持者): フランスサッカー連盟のような権威あるスポーツ団体。
◆ 証明(取得の基準):

  • 練習セッションの準備計画書を提出する。
  • 対立解決に関するケーススタディに回答する。
  • 参加した子どもや保護者からの満足度アンケート。

この活動を通して、参加者はスキルを定義し、その価値を証明し、信頼性を与えるというバッジ設計の具体的なプロセスを学びました。

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オープンバッジの歴史と、現在地を図にしてみました。
2011年ごろ、オープンバッジは「非公式な学びの可視化」を目的として誕生しています。
オープンバッジというものが生まれてまもなく、オープンバッジファクトリーも誕生しています。

フェーズ2では現在の1EdTechコンソーシアムにより国際標準規格になりました。
その頃、ボローニャでオープンリコグニション宣言が起こり、アライアンスも設立されています。フランスではノルマンディ地方やブルターニュ地方などで地域主体のバッジ活用が活発化しています。

そして、フェーズ3に入ると、改ざん困難な証明書として技術が進み、オープンバッジファクトリー社もv3.0に対応するなど新たな開発の動きが進んでいます。

フランスでは「バッジ=市民がお互いを認め合うツール」という哲学が根底にあるため、日本よりもボランティアや地域活動での活用が進んでいるのが大きな特徴です。

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これは今回私が視察をした視点からの比較ですが、フランスでは地域と思想が普及の原動力になっており、クレデンシャルという範囲より大きなリコグニションということをバッジで実現しようとしている。主な発行組織も、生涯学習社会を構築したいという流れの中で、非営利団体や、地域、教育機関が主な発行組織になっている という印象を受けました。

フランスで見聞きしてきた話が、すぐにそのまま日本に ということではなく教育に携わる方々には一度、オープンリコグニションという哲学に触れていただけると良いなと思います。

上から下への方向だけの評価ではなく、自己評価、横や斜めのつながりの評価、あらゆる経験や学びを自分で管理していくことで、自分の潜在能力や適性を認識し、自分にあった学び方で主体的に学び、勉強や仕事以外の好きなことを楽しむこと、豊かな生きるための力を育むこと、それをオープンバッジも使ってできたら良いのではというのが感想です。

自ら子育て真っ最中の私としては
「お母さん私、今、すごい幸せだよ」
と心の底から言ってもらえたらそれが一番。

そのために、我が子が自分の日々の暮らしの中で体験したことや学んだことを自分で認めて、誰かからも認めてもらえて、お互いに認め合うことができたら良いだろうなと思います。

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川路:私は現在、サポートエンジニアとして勤務していますが、その前は7年間、横浜市立の小学校で教員を務めていました。
本日は、元教員としての視点から、「小学校での非認知能力の可視化とオープンバッジの活用」についてお話しします。


小学校でどのような能力にバッジを発行できるか

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小学校の現場では、テストの点数では測りきれない子どもたちの素晴らしい姿がたくさんあります。私が考えた、バッジの対象となる主な5つの力は以下の通りです。

  1. 協調性・チームワーク: クラスで困っている子を助けたり、上級生として低学年をサポートしたりする姿です。係活動への責任感や、宿泊体験でのリーダーシップもここに含まれます
  2. 挑戦・粘り強さ: 新しいことに挑戦する姿勢や、失敗してもくじけずに諦めない心です。自分自身の変化をしっかり振り返る力も大切です。
  3. 創造性・表現力: 独自の工夫を提案したり、みんなの前で発表したりする技術や意欲を評価します。
  4. 自己理解・内省: 定期的な振り返りを行い、自分で目標を立てて努力する姿にバッジを贈ります。
  5. 思いやり・共感: 相手の気持ちを考え、友達の話を最後まで聞くといった、集団生活の根幹となる力です。

これらは、国語や算数といった教科の評価というよりは、「道徳」「特別活動」「総合的な学習の時間」における評価と非常に相性が良いと考えています。

運用のポイント:結果よりもプロセス

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バッジを導入する上で、私が最も大切にしたいのは「できた(結果)」よりも「やってみた(プロセス)」を評価することです。
努力の肯定: 成功したかどうかだけでなく、そこに至るまでの挑戦や努力をしっかり認めます。
基準の透明性: 「何をしたらもらえるのか」を子どもたちにも分かる明確な基準として示すことで、一人ひとりが公平感を持って取り組めるようにします。
個別性の尊重: 誰かと比較するのではなく、その子自身の成長に注目します。「あなたはあなたのペースで大丈夫だよ」と声をかけ続けることが、次の頑張りへの動機付けになります。

バッジは「対話」のきっかけ

バッジは発行して終わりではありません。むしろ、バッジをきっかけとした先生と子どものコミュニケーションこそが本質です。
「あなたのこういうところ、頑張っていたよね」と直接言葉を添えて伝える。バッジはあくまで対話を生むためのツールであり、その温かいやり取りが子どもたちの自己肯定感を育むのです。

先生方の負担を減らすために

日本の学校現場の先生方は非常に多忙です。新しい取り組みに消極的なケースがあるのも現実です。そのため、導入にあたっては先生が「発行するだけ」で済むような事前の設計支援が欠かせません。
あらかじめバッジやその基準(メタデータ)を事務局やベンダー側で用意しておくことで、先生が運用で迷うことなく、子どもたちと向き合う時間を確保できる仕組み作りを私たちは進めています。

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髙橋:ソリューションアーキテクトとしてオープンバッジ事業の立ち上げをメインに担当していますが、以前は私立高校で数学の教員を務めていました。
本日は、元高校教員としての視点から、非認知能力や活動履歴を可視化することの意義とメリットについてお話しします。

「水面下の力」にスポットライトを当てる

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教育現場でよく使われる「アイスバーグ(氷山)モデル」を思い浮かべてください。テストの点数や知識といった「認知能力」は、水面から上の見えやすい部分にあります。これらは自分でも認識しやすい力です。

一方で、水面下には「リーダーシップ」「粘り強さ」「挑戦する姿勢」といった非認知能力が隠れています。これらは生徒自身ではなかなか気づけませんが、実は私たち教員は、日々の授業や学級活動の中での「見取り」を通じて、こうした力を意外と認知できています。
オープンバッジは、この「先生は見ているけれど、形にしにくかった力」を可視化するツールなのです。

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生徒にとってのメリット:一生消えない「デジタル資産」

能力を可視化することは、生徒の将来にとって強力な武器になります。

1. 推薦入試や就職活動の強力な証拠: 自分の活動や強みがバッジとして可視化されていれば、志望理由書や自己推薦書をより具体的に書くことができますし、面接での説得力も格段に増します。

2. 一生モノの資産: オープンバッジは国際標準規格に基づいているため、高校を卒業して大学、社会人になっても、紛失することのない「デジタル資産」として持ち運び、自分のキャリアを証明し続けることができます。

先生にとってのメリット:事務作業の劇的な効率化

先生方にとっても、オープンバッジは「負担を減らし、指導の質を上げる」ための味方になります。

 書類作成の効率化: 調査書や推薦書を書く際、かつては大量の紙資料を漁って「この子は何をしてきたか」を確認していましたが、デジタルで管理されていればその時間は大幅に削減できます。

AIとの連携: マシンリーダブル(機械判読可能)なオープンバッジはAIとの相性も良く、AIに推薦書の叩き台を作ってもらう際などの精度向上にも寄与します。

データに基づく指導: 経験や勘だけでなく、蓄積されたデータに基づいた多角的な指導や、生徒への適切な動機付けが可能になります。

現場への導入に向けて

「新しい仕組みを導入するのは負担が大きい」と感じる先生もいらっしゃるでしょう。

私自身、現場の多忙さは身に染みてわかっています。だからこそ、私たちベンダー側があらかじめバッジの基準やメタデータを設計し、先生は「発行するだけ」で済むようなサポート体制を整えることが重要だと考えています。

フランスの事例にあるように、専門組織が先生を支える仕組みを作ることで、先生が運用で迷わず、本来の役割である「生徒と向き合うこと」に集中できる環境を日本でも広めていきたいです。

 

【オープンバッジファクトリーとは】

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オープンバッジファクトリーは、デジタル証明としての国際的な技術標準規格であるオープンバッジ 2.0に準拠した「オープンバッジ」を作成・発行・管理するためのプラットフォームです。

公的な資格試験の合格証から、講座の修了証、イベント参加証、スキル証明や、ゲーム感覚の楽しいバッジ集めまで、教育機関だけでなく、NGOや企業内での人材育成など、子どもから学生・社会人まで、さまざまな用途に対応します。

修了証の発行をデジタルバッジで行うだけでなく、既存の学習活動にオープンバッジを適用することで、マイクロクレデンシャルの導入やゲーミフィケーション化が可能になり、学習成果をより明確かつ魅力的に示すことができます。

オープンバッジファクトリーの概要やサービス内容・プランの詳細など詳しくは下記リンクをご覧ください。

オープンバッジファクトリーの詳細はこちら

 

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ITと教育の分野でのイノベーターとしてのインフォザイン

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「株式会社インフォザイン」は、東京 上野にオフィスを構え、教育とテクノロジーを融合させたEdTech分野でビジネスを展開しています。

オープンソースとオープンスタンダードを活用し、教育の未来を創る」ことを目指し、特に力を入れているのは、ルクセンブルクのOAT社が開発したWebベースでアセスメント・テストを実施するためのCBT(Computer Based Testing)プラットフォーム「TAO」をベースとした新サービスの開発と提供です。

オンラインアセスメントのためのSaaS版CBTプラットフォーム「TAOクラウドJP」をはじめ、学力調査、大学入試、各種資格・検定試験などのCBT化に実績のあるアセスメントサービスを提供しています。

また、学習歴の可視化の手段として利用が広がっているオープンバッジの発行プラットフォーム「オープンバッジファクトリー」の日本における独占販売契約を締結し、サービスを提供しています。

なお、教育DXを推進するため、教育に興味を持っているITエンジニアはもちろん、教育分野に課題意識を持っている人材も広く募集しています。
サービスや採用情報などへのご質問もお気軽にお問い合わせください。

【お問合せ先】

株式会社インフォザイン
e-mail:obf@infosign.co.jp
公式HP: https://www.infosign.co.jp/
〒110-0008 東京都台東区池之端1丁目2-18 NDK池之端ビル4F

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