セミナー・講演

New Education Expo 2025でオープンバッジファクトリーを出展しました

2025年6月、東京と大阪で開催された、教育関係者向けセミナー&展示会「New Education Expo 2025」において、オープンバッジファクトリーを出展しました。 ここでは「学びの未来を、共に拓(ひら)く」をテーマに120以上の講演と、最新の教育向けICT機器・教材が展示されました。


背景

New Education Expo(NEE:ニュー・エデュケーション・エキスポ)は、教育関係者向けのセミナー&展示会のイベントです。
1996年に始まり、今回で30回目を迎えました。

「学びの未来を、共に拓(ひら)く」のテーマの通り、未来の教育の博覧会とも言われるほど、最新の教育方法やそれを支援するさまざまなツールが披露されます。

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New Education Expo の概要

小学校から大学までの先生方、学術機関の方、文部科学省、教育委員会、企業の方など、招かれた講師による120を超えるセミナーが開催され、教育業界の課題やあるべき姿、現場でのさまざまな取り組みを聴くことができます。

企業展示ブースでは、教育向けのICT機器、デジタル教材、セキュリティシステムやe-ラーニングシステムまで、最新の教育向け商品の展示が集まります。

FUTURE CLASS ROOMという「未来の教室」を体験できるスペースも設けられ、問題に対する一人ひとりの回答を全員で共有したり、教室内での会話の自動文字起こし機能やAI要約機能で記録を残しながらの授業がデモンストレーションされました。

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【主な基調講演】

我が国の教育改革はどこに向かうのか ~その現状と課題~
東京大学 教授/慶應義塾大学 SFC 特任教授 鈴木 寛 先生

次期学習指導要領を見据えた教育の情報化
東京学芸大学教職大学院 教授 堀田 龍也先生

AIの時代に何をどう学ぶか
(一財)交詢社 理事長/元慶應義塾長 安西 祐一郎氏

など

 

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講演

当社インフォザインからも、東北学院大学 稲垣先生との講演の中で、オープンバッジの紹介をさせていただきました。

探究の過程を確認する
~デジタルバッジを用いた「学びの証明」~

〈講演内容説明〉オープンバッジは学校内外の様々な学びの過程を一元的に残していくことができる標準規格です。大学や企業等では実用化が始まっており、今後、初等・中等教育を対象とした活用も進んでいくことが考えられます。中学校でのオープンバッジ活用について、オープンバッジを活用した地域を巻き込んだ探究プログラムの構想をお話いただきます。

6月3日(土) 13:00〜14:40 

東北学院大学 文学部 教授 稲垣 忠氏
気仙沼市立津谷中学校 校長 藤山 篤氏
(株)インフォザイン髙橋
内田洋行教育総合研究所

(参考文献)2025年6月3日取得

NEE2025_seminar_003左から、稲垣先生、藤山先生、インフォザインの髙橋

「デジタルバッジを⽤いた学びの証明」と「教育データとしてのオープンバッジの可能性」について4名のパネリストからそれぞれの視点で取り組みについて発表がありました。
以下に、どのような内容のお話だったかを一部、ご紹介します。

 

オープンバッジとは?

オープンバッジは、知識やスキルを証明する世界標準規格のデジタル証明書です。例えばHDMIやUSB-Cのような標準規格と同じように、国際的な相互運用性を持っています。画像ファイル内に発行者、受領者、発行日、知識・スキル、取得条件などのデータが埋め込まれており、技術標準に準拠していればどの団体が発行したバッジでも同じように管理ができます。最近では履歴書やSNSでの活用も広がりつつあります。また、ルーブリックや学習指導要領などの外部フレームワークとデジタルバッジを紐付け(アライメント)することもできます。

 

教育現場での活用事例:気仙沼市立津谷中学校

宮城県気仙沼市立津谷中学校では、総合的な学習の時間「向が丘楽習」において、探究学習の評価と承認にオープンバッジを導入しました。これは公立学校として全国初の試みと言えるでしょう。生徒たちは自ら課題設定からまとめ・表現までの探究プロセスに取り組み、特に最終段階の「まとめ・表現」のパフォーマンスに対してバッジが付与されました。生徒へのアンケート結果からは、「自分の頑張りを認められた」「嬉しくなった」「もっと集めたい」といった声が多く聞かれ、学習意欲の向上や学びの可視化に効果があることもわかりました。さらに、高校や大学、就職時にも提示したいと期待されています。

 

教育データとしてのオープンバッジの可能性

オープンバッジは、学習履歴に留まらず、ICT外の学びや多様な学びの過程も教育データとして扱えるようにする可能性を秘めています。この取り組みは、正式な基準に基づくスキル証明としての「認定(クレデンシャル)」と、フォーマル・インフォーマルな学びや経験を承認する「承認(リコグニション)」という二つの方向性を持っています。特に「オープンリコグニション」という思想は、個人が自らの学びを自己認定し、組織や制度に依存せずコミュニティ主導で評価・承認する動きを促進するものです。

 

これからのオープンバッジ

オープンバッジは、学校行事、部活動、地域ボランティアなど、学校内外の多様な活動の承認に活用できる可能性があります。また、大人と子どもの学びを連結し、地域全体の多様な学びを可視化するプラットフォームとしても期待されています。

このセミナーでは、オープンバッジが単なるデジタル証明書に留まらず、学習者の主体性を育み、多様な学びを社会全体で承認していくための重要なツールとなり得ることが紹介されました。

 

ミニセミナー

東京、大阪の両会場では10分間のミニセミナーを開催しました。「これからの学習評価に取り入れたい「オープンバッジ」~評価から承認へ~」をテーマにご紹介をし、ミニセミナー会場は満席になるなど多くの方にお話を聞いていただくことができました。

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ミニセミナーの内容

承認とは、貢献度や活躍を認め、称賛することであり、単に「褒めること」とは異なります。承認されることで、児童生徒は大きな勇気と活力を得て、成功が保証されていない新しい挑戦にも意欲的になり、自律的な進化を促します。これは、ゲームのトロフィーシステムやスタンプカードのように、モチベーション向上のきっかけにもなります。

また、オープンバッジは、ウェブページやPDFなどの関連資料をエビデンス(証拠)として添付することで、その価値をさらに高めることができます。また、取得したバッジを学年やテーマ別に分類し、自身の学習履歴をまとめた「ポートフォリオ」としても活用できます。このデジタルポートフォリオは、卒業後も「生涯にわたって」持ち運び、学習成果や活動を振り返り続けることが可能であり、個人の学びの軌跡を可視化する強力なツールとなります。
オープンバッジを用いて児童生徒を承認していきましょう!

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展示ブース

児童生徒・教職員向けの安全なオープンバッジ管理システム「エデュパスポート」をご紹介しました。

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国際標準規格の「オープンバッジ」というデジタルな証(あかし)を使って、学業の成果はもちろん、探究学習や係活動、日々の小さな頑張りといった、これまで点数や記録に残しにくかった多様な活動を「見える化」し、記録・管理します。

ポイントは以下の3点です。

  1. 子どもたちの成長をサポート: 子どもたちにとっては、自分の頑張りがバッジという具体的な形になることで自信がつき、次の挑戦への意欲が湧きます。先生方にとっては、一人ひとりの多様な成長をきめ細かく「承認」し、サポートするためのツールとなります。

  2. K12向けに特化した高い安全性: 子どもたちのプライバシー保護を最優先に設計されており、安心してご利用いただける環境を提供します。

  3. オプションで学校専用スペースも:学校専用スペースを活用すると、子どもたちのプライバシーを守りながら、学校、教育委員会単位でのバッジ運用が可能になります。

このように「エデュパスポート」は、子どもたちの学びの記録を安全に未来へつなぐための、新しい教育支援サービスです。

 

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CBTプラットフォーム「TAO」も同時に出展をしていました。

セミナーに参加いただいた方、ブースに訪問いただいた方には参加証としてのオープンバッジも発行されました。

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ご来場いただきました皆さま、どうもありがとうございました。

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東京会場は東京ビッグサイト(東京国際展示場)にあるTFTビルにて、3日間開催されました。

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大阪会場は大阪城の近くにあるOMM(旧大阪マーチャンダイズ・マートビル)にて、2日間の開催でした。

 

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ITと教育の分野でのイノベーターとしてのインフォザイン

「株式会社インフォザイン」は、東京 上野にオフィスを構え、教育とテクノロジーを融合させたEdTech分野でビジネスを展開しています。

オープンソースとオープンスタンダードを活用し、教育の未来を創る」ことを目指し、特に力を入れているのは、ルクセンブルクのOAT社が開発したWebベースでアセスメント・テストを実施するためのCBT(Computer Based Testing)プラットフォーム「TAO」をベースとした新サービスの開発と提供です。

オンラインアセスメントのためのSaaS版CBTプラットフォーム「TAOクラウドJP」をはじめ、学力調査、大学入試、各種資格・検定試験などのCBT化に実績のあるアセスメントサービスを提供しています。

また、教育DXを推進するため、教育に興味を持っているITエンジニアはもちろん、教育分野に課題意識を持っている人材も広く募集しています。
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