「発行して終わり」を超えて 〜東京都市大学共通教育部自然科学系情報教育部門が10年越しで実現した、LMS連携バッジ自動発行の仕組みづくり〜
オープンバッジの「定着しない」壁を、LMS連携による自動発行で乗り越えた東京都市大学の安井浩之先生。 10年以上の試行錯誤を経てたどり着いた仕組みと、2026年度から始まる展開についてお聞きしました。
オープンバッジの活用を語るとき、「試行したが定着しなかった」「発行したが学生に使われない」という声は少なくありません。東京都市大学の安井浩之先生は、その壁を乗り越えるための取り組みを10年以上かけて行ってきた方のひとりです。
Mozilla Backpack から Badgr、そしてオープンバッジファクトリーへ——試行錯誤の末にたどり着いたのは、LMSと連携した「自動発行の仕組み」でした。2026年度からはその仕組みを授業全体に展開し、最大1,000件規模の発行を見込んでいます。
今回は、安井先生に利用の経緯と現在の運用、そして今後の展望についてお聞きしました。
導入概要
| 項目 | 内容 |
| 機関名 | 東京都市大学 |
| 利用サービス | オープンバッジファクトリー(プロプラン) |
| 契約開始 | 2024年10月 |
| 連携LMS | WebClass |
| 主な用途 | ITリテラシースキルテスト合格の証明バッジ発行 |
| 発行数 | 最大1,000件 |
オープンバッジとの出会いを教えてください
安井先生:もう10年ほど前になります。当時、別の先生と一緒に「LMSと連携してオープンバッジを発行できないか」という取り組みを大学の予算で始め、WebClassをカスタマイズすることで実現をしました。その頃はまだバージョン1.0の時代で、Mozilla Backpackを使っていました。
ただ、その後Mozilla Backpackのサービスが不安定になり、Badgrに移行したのですが、そちらもいろいろと状況が変わってきて。「きちんとした発行の仕組みに移行しなければ」と思っていたタイミングで、LTI連携でバッジ発行が可能なオープンバッジファクトリーを導入することになりました。
具体的にどのような用途でバッジを発行されているのですか?
安井先生:私の授業では「スキルテスト」と呼ばれる実技試験があります。WordやExcelなど、ITリテラシーの試験です。これに合格した証明としてバッジを発行しています。
ただ、少し特殊な使い方をしていて、全員に発行するのではなく、再履修になった学生に対して「一度このテストに合格した」という証明として使っています。正規に単位取得できた学生にはバッジを発行せず、再履修者のためだけに使っているので、発行数は昨年度は4〜5件程度とかなり少数でした。

WebClassとの連携はどのように実現されているのですか?
安井先生:ここが一番苦労したところです。
WebClassには複数の教材をセットにする「ユニット」という機能があり、その中で「順番に進める」設定にすると、合格ラインが設定された教材を通過しないと先に進めない仕組みになります。
このユニットの最後にオープンバッジファクトリーとのLTI連携教材を組み込んでいます。つまり、テストに合格して先の教材にアクセスすると、自動的にオープンバッジファクトリーのバッジ発行画面が表示されて、学生がボタンを押すだけでバッジが発行される、という流れです。
「レビューなし」での発行設定を使っているので、管理者が一件一件審査する手間もありません。これはMozilla Backpackの時代から使っていた仕組みと発想が同じで、「教材にアクセスしたら自動的にバッジ処理をかける」というものです。
この方法はイレギュラーではないかと心配されていたと伺いましたが?
安井先生:そうです。オープンバッジファクトリーのドキュメントには「Moodle、Canvas、Blackboardなど特定のLMSと連携して自動発行できる」という説明があって、WebClassの名前がなかったので「これは特殊な使い方なのかな」と不安でした。
でも実際には、LMS側で合格条件を制御して、合格した学生だけがアクセスできるリソースにバッジ発行のトリガーを仕込む、という方法は一般的な使い方と全く同じとのことで安心しました。
次年度は大きく規模を拡大される予定ですね
安井先生:はい。これまでは再履修者だけを対象にしていたのですが、次年度からは授業内で全員にバッジを発行する予定です。「電子証明の一つとしてオープンバッジというものがある」ということを学生に体験させることで、バッジそのものの価値や仕組みを理解してもらうことが目的です。
スキルテストの種類によっては4〜5つのバッジを発行する場合もあるので、最大で1,000件程度の発行になると見込んでいます。
学生への案内で工夫されていることはありますか?
安井先生:正直なところ、以前Mozilla Backpackを使っていた時代は、UIが全部英語だったので学生の受けがとても悪くて。「めんどくさい」と思った瞬間にやってもらえなくなる可能性が高くなります。
オープンバッジファクトリーの利用規約が日本語でも表示されるようになったのはかなりありがたい変化です。ただ、ウォレットへの登録は15分ほどの説明が必要になるので、授業時間内での案内には工夫が必要だなとは思っています。
卒業前にしっかりウォレットに移行してもらうことも重要で、LMSが使えなくなる前にGoogle等の個人アカウントと紐付けておくよう案内する予定です。
エンドースメント機能についても関心をお持ちと伺いました
安井先生:バッジは「発行して終わり」になりがちですよね。エンドースメントがうまく機能すれば、「誰かが推薦している」という信頼度の付加ができる。
ただ、国内では組織間のエンドースメントはまだあまり普及していないと聞きました。同じ仕組みを持つ者同士でないとエンドースメントできないと思っていたのですが、実際にはメールアドレスさえあれば、オープンバッジファクトリーを導入していない個人や組織でもエンドースメントを書けると知って、認識が変わりました。
マイクロクレデンシャルの動きが本格化してくれば、自然と活発になっていくのかなと期待しています。
まとめ:LMS連携でバッジ発行の「手間」を解消する
安井先生の事例は、LMSとオープンバッジファクトリーを組み合わせることで、運用負荷をかけずにバッジ発行を自動化できることを示しています。
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WebClassの「順番に進める」機能とLTI連携を組み合わせ、テスト合格者のみがバッジ発行画面にアクセスできる設計
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「レビューなし」発行設定により、管理者の審査作業ゼロを実現
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次年度は授業内での全員発行にスケールアップ予定(最大1,000件)
「学生には、世界中どこでも検証できるバッジを持たせたい。バリデーターできちんとパスして、『これが電子証明の仕組みだよ』と見せられるようにしたい。」
——安井浩之先生(東京都市大学)
◼️ オープンバッジファクトリーについて

オープンバッジファクトリーは、フィンランドのOpen Badge Factory社が開発したデジタルバッジプラットフォームです。国際標準化団体1EdTech(旧IMS Global)が策定したオープンバッジ規格(Open Badges v3.0)に完全準拠しており、バッジの設計・発行・管理・検証をすべてクラウド上で行えます。
インフォザインは日本国内における独占販売代理店として、大学・高等学校・自治体・企業・学会・NPOなど、国内の組織への導入を支援しています。
Open Badge Factory社は、フィンランド発のオープンバッジ発行・管理プラットフォームです。LTIを通じたLMS連携、バッジ申請フォームによる審査付き発行、バッジへのエンドースメント・エビデンス添付など、教育機関の多様なニーズに対応します。
日本国内では株式会社インフォザインが独占販売代理店として導入支援を行っています。
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◼️ 導入をご検討の方へ

「学びの実績を証明したい」「修了証をデジタル化したい」というご相談から、具体的な発行設計のご支援まで、幅広く対応しています。無料トライアルもご用意しています。
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