事例

「デジタル アセスメント」の再定義

デジタル化による学習アセスメント(評価)の再定義は、プロプライエタリな製品におけるデータのサイロ化を解体し、オープンな環境を展開することです。


デジタル化による学習アセスメントの再定義

デジタル化による学習アセスメント(評価)の再定義は、プロプライエタリな製品におけるデータのサイロ化を解体し、オープンな環境を展開することです。

これにより、複数の学習コンポーネントの情報源からのアセスメント(評価)データと学習記録データを組み合わせることで、学生個々の進捗状況に関する実用的な洞察が得られ、より良い学習成果をもたらすことが可能となります。

このようなパーソナライズされた効果的な学習環境を実現するためには、オープンなテクノロジーに基づいた統合的なアプローチによってのみ可能となります。

この記事では、学習とアセスメント(評価)に対する最新のアプローチについて概説し、それらをサポートするデジタルアセスメントツール「TAO ®(タオ)」(*1)の概要と次世代デジタル学習環境NGDLE:Next Generation Digital Learning Environment )での適応事例をご紹介します。

 

「学習」と「アセスメント」へのアプローチを変化させる

1つのシステムに「学習」「アセスメント(評価)」「学習記録データ」を統合することで、「教えること」と「学ぶこと」のつながりが強化され,優れた成果を生み出します。

この統合のためには、様々な学習コンポーネント間での相互運用性が高いオープンでデータドリブンなエコシステムを構築する独自のデータ統合環境が必要となります。言い換えれば、最新のオープンなテクノロジーを活用してデジタルアセスメントを再定義することが必要ということです。

学習、アセスメント、学習記録データが統合されたエコシステム

 

では,なぜこのような統合が必要とされてきているのでしょうか?

すべての学歴(K-12、高等教育、社会人)における教育は、急速な技術進歩、これまでにない新しいタイプの仕事、人々が相互に繋がるインターコネクションへの適用などが求められています。

さらにテクノロジーの普及は、従来の指導的なモデルから、アクティブ(能動的)で主体的な学習モデルへと急速に変化しています。

このような次世代学習モデルでは、学習者個人がパーソナライズされた学習プロセスに沿って学習成果を上げることを可能とし、成果を確認しながら主体的に学習する方法に焦点が当てられています。

このように学習へのアプローチが大きく変化しているため、学習へのアセスメント(評価)も再定義することが必要となっているのです。教育者は,一連の学習課程の後に行われる個別の独立したアセスメント「アセスメント of ラーニング」に代わって、学習課程そのものにアセスメントを統合させる「アセスメント for ラーニング」への変化を求められています。

そのため,オープンなテクノロジーとオープンな標準規格に基づいた総合的なアプローチは、さまざまな学習とアセスメントのコンポーネント群を相互に統合・運用できる一貫したシステムとして提供されるのが理想的といえるのです。

Figure2:従来、アセスメントはAssessment of Learningとして学習プロセスの後に行われている。Figure 3:テクノロジーによるアセスメントの再定義は Assessment For Learning としてアセスメントを学習プロセスに統合させる

 

TAOの「デジタル アセスメント」ソリューション

技術的には、アセスメントと学習に対する統合されたアプローチでは,統一されたデジタル環境の構築が必要ですが、これらを利用するには決して専門的なスキルを必要とするわけではありません。

Open Assessment Technologies Corp.(O.A.T.社)は、「デジタルアセスメント」ソリューションを専門とし、IMSグローバル・ラーニング・コンソーシアム(*2)の主要なEdTechベンダーとして、オープンソースのアセスメントプラットフォーム「TAO(タオ)」の開発を手がけている企業で,その 「TAO」は,世界中のさまざまな教育機関において、「デジタルアセスメント」ソリューションの中核ツールとして採用されています。

「TAO」には、問題作成からオンライン配信、結果データのレポートまで、あらゆるアセスメント活動をサポートするためのモジュールが含まれており,また相互運用性を実現する最新のIMS標準規格に準拠しているため、次世代デジタル学習環境(NGDLE)への統合を容易にしています。

O.A.T.社の大規模での高い統合ノウハウにより、顧客はTAOの統一されたアセスメント・データ・アーキテクチャーを活用することで、すばやくそのメリットを享受することができます。

 

次世代デジタル学習環境(NGDLE)を実践する

O.A.T.社は,他のEdTechのビジョンや組織と協調し、デジタルアセスメントを再定義するための実用的なソリューションの開発を続けています。

一例として、TAOプラットフォームは現在、オランダにおける高等教育のための次世代デジタル学習環境(NGDLE)を確立するための国家パイロットプロジェクトのアセスメントプラットフォームとしての採用が挙げられます。

このプロジェクトは、学生、講師、研究者に最高のインターネットとICT環境を提供するオランダの教育研究のための共同情報通信技術(ICT)組織SURFによって率いられています。 SURFは、将来のデジタル学習環境を構築するために,教育機関が必要とするモジュール化、フレキシブル化、パーソナライズ化された技術フレームワークの構築と促進を目指しています。このようなデジタル学習環境では、統合が容易で相互にうまく機能するツールとアプリケーションが提供され、教育機関は必要に応じてこれら最適なコンポーネントを自由に選択することができます。現在, Cito(旧オランダ王立教育評価機関)と他の7社のEdTech企業と協力して、 TAO製品をSURFデモ環境に統合し、アプリケーション間の標準化とデータ交換の検証をおこない、モジュール式デジタル学習環境の構築を進めています。

参考コラム:OAT社,次世代デジタル学習環境(NGDLE)の構築を目指すオランダSURF実証プログラムに参画。

(*1)CBTプラットフォーム|TAO
TAO(タオ)は、eラーニングにおけるテスト・ドリルの国際的標準規格であるQTI/LTIに完全準拠したWebベースのCBT(Computer Based Testing)プラットフォームです。OECDのPISAの調査用プラットフォームに採用されるなど大規模調査への実績が豊富。

(*2)IMSグローバル・ラーニング・コンソーシアムe-Learning・ICT活用教育分野における国際標準化団体
eラーニングやICT教育における、 アプリケーションやコンテンツなどの技術仕様の国際標準化を進める学術機関、企業からなる国際コミュニティ。国内においては,日本IMS協会(IMS Japan Association)が、2016年5月に設立された。

日本IMS協会(IMS Japan Association)ついての詳細はこちら

 

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ITと教育の分野でのイノベーターとしてのインフォザイン

「株式会社インフォザイン」は、東京 上野にオフィスを構え、教育とテクノロジーを融合させたEdTech分野でビジネスを展開しています。

オープンソースとオープンスタンダードを活用し、教育の未来を創る」ことを目指し、特に力を入れているのは、ルクセンブルクのOAT社が開発したWebベースでアセスメント・テストを実施するためのCBT(Computer Based Testing)プラットフォーム「TAO」をベースとした新サービスの開発と提供です。

オンラインアセスメントのためのSaaS版CBTプラットフォーム「TAOクラウドJP」をはじめ、学力調査、大学入試、各種資格・検定試験などのCBT化に実績のあるアセスメントサービスを提供しています。

また、教育DXを推進するため、教育に興味を持っているITエンジニアはもちろん、教育分野に課題意識を持っている人材も広く募集しています。
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